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こんにちは、技術創発推進室の髙岡です。
普段は、AIエンジンの開発とサービス開発を行っております。
昨年、2019年12月13日にシドニーで開催された、ニューラル情報処理の国際会議 International Conference on Neural Information Processing(以下 ICONIP-2019)に弊社CTO寺田の論文が採択され、発表を行いました。
私髙岡も同行して、さまざまな他の論文発表等を聴講してまいりましたので、その印象や感想などを書いてみたいと思います。
私は、普段は画像処理関連の案件に従事しています。すると、日常的に収集する情報も画像処理関連のものに偏りがちです。ところが、こうした国際学会の場では、研究者ごとの様々な関心に沿って、多様な問題設定についての発表を見聞きすることができます。
たとえば医療関連の応用であるとか、脳波からの感情推定といった分野が研究されていることは、学会の場で初めて知りました。「機械学習を量子コンピュータをつかって実行する」というテーマを扱っている発表もありました。次の時代が近づいているようで、刺激的でした。
また、基礎的な研究は分野をまたいで成果を応用できる期待が持てるものです。モデル圧縮に関する発表をいくつか聴いてきましたが、ひとことに「モデル圧縮」と言っても研究者ごとに問題設定が異なり、それぞれに興味深いものでした。
弊社寺田の発表には、私は撮影係として参加していました。寺田の発表には聴衆からも質問があがり、関心をもっていただけたようでした。
■ICONIP-2019 について
ICONIP は Asia Pacific Neural Network Society (以下 APNNS)という学会が主催する国際会議です。 ニューラルネットワークを中心とした分野で働いている研究者、科学者、および業界の専門家による研究結果について、議論や交流を行うこと目的として毎年開催されています。ICONIP-2019 は、その 2019 年の会合でした。
会議には、APNNSの名前の通り、主にアジア太平洋地域の専門家が参加していました。中国、インド、オーストラリア、日本、韓国、台湾、中東諸国などの国際色豊かな参加者が活発に議論を行っていました。また、学生を含む若い人や女性も多く参加していました。
■研究テーマと発表内容
B-DCGAN: Evaluation of Binarized DCGAN for FPGA (発表スライド)
本研究は、電気通信大学の庄野研究室と共同で、2017年の夏頃〜2018年3月にかけて実施したものです。
通常、ディープラーニングによって得られる AIモデルは、GPUなどの電力を大量に使える環境向けの、大きな処理能力のある計算機上で実用されます。一方で、IoT向けデバイスのような電力と処理能力に制約のある環境にも AI の活用の場を広げることができるなら、有用な AI を世の中の至るところに配置することができるかもしれません。
本研究は、省エネ & コンパクトな AI 実装技術、特に近年高性能化しているFPGAのAI分野での可能性を探ることを目的としたものです。
より具体的には、有力なディープラーニング応用の一つであるGAN(*1)をターゲットとし、FPGA化に適した『バイナリ(二値)化』というモデル圧縮手法を様々な条件下で適用して、FPGA上にGANを実装し、評価実験を行いました。成果は論文として、arXiv.orgに公開しています。
ICONIP2019の発表では、この研究について英語による口頭プレゼンテーション発表をいたしました。
*1 GAN:ギャン。敵対的生成ネットワーク(Generative Adversarial Network)の略。画像などのデータを学習し、それとよく似たデータを生成できるディープラーニングモデル。その生成画像は非常に精密でリアリティのある品質にすることもできるため、デジタル映像制作など幅広い応用が期待されている。
■オープンイノベーション × 国際会議
オープンイノベーションの場では現実の問題を解くために手を尽くす必要がありますが、そのためには多様な知見を総合してゆく必要があります。このためにも、また自らの得意分野としても、我々技術創発推進室は最先端の AI 技術を日々学んでいます。
ICONIP-2019 のような国際会議には、各分野の専門の研究者が最新の成果を持ち寄ってきます。こうした場に参加することで、今まさに研究の進んでいる分野における最先端の知見に集中的に触れることができます。また、研究者ごとに問題設定も様々ですから、これまで知らなかった応用事例にふれることもあります。さらに、こうした場から新たな出会い、次のオープンイノベーションにつながる可能性もあります。
本来IT技術・デジタル技術に国境はありません。また日本では、アカデミックな研究界と産業界の間の壁も他国に比べて高いと言われています。当社では今後もオープンイノベーションや産学連携、国際連携に積極的に取り組むことで、こうした壁や国境に囚われることのない自由で創造的、役に立つイノベーションを達成していきたいと考えております。
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