Keep Innovating! Blog
みなさん、こんにちは。技術創発推進室 室長の寺田です。
私は、当社オープンストリームに入社したのは2012年で、これで3社目になります。新卒の1社目は大手重工メーカー、2社目は動画系ベンチャー企業と所属は変遷してきましたが、私の仕事は30年近くずっと変わらず R&D(研究開発) 系です。すなわち、私の仕事はずっとイノベーションに関わるものでした。イノベーション=『他にはない新しい要素を含んだ何かを創る』、というのは私が子供の頃からやってきたライフワークなので、これは幸せなことだなと思っています。
イノベーションには必ず『ゼロをイチにする』部分が含まれます。典型的なイメージでは新しい技術的な発明ですが、それ以外にも、既存の要素を新しいやり方で組み合わせることや、新しい体制やルールのもとで人や組織を活動させること等も含まれます。100%すべてが新しいということはほぼ無いですが、必ず一部に未知の新要素を含んだ取り組みであることが、イノベーションの定義そのものです。
他のどんな仕事でも同様だと思いますが、イノベーションという仕事にも独特のコツや勘所というものがあります。少なくとも私はそのように感じています。全てを言語化するのはなかなか難しいのですが、今回はそのいくつかをご紹介してみたいと思います。
■コツ1:目的、目的、目的!
はじめから目的やゴールが明確なタイプの仕事とは違って、新たなイノベーションを目指す場合には、目的の設定が重要です。明確な言葉で目的を設定して、関係者全員がそれに合意していることが成功するための必須のポイントです。
ましてや、オープンイノベーションの場合は、異なる会社や別の組織のメンバーが合同で仕事をしていくわけですから、『あ・うんの呼吸』に期待したりするのは間違いのもと。言語化した明快なコミュニケーションを意識することが大切です。
そして目的は、常に何度も再確認することが重要です。意外に思われるかもしれませんが、分かっているはずなのに、だんだん目的からずれた方向に仕事が進んでしまって、それにメンバーが気づかないということがあります。人はどんなタスクでも、やっているうちにのめり込んでしまう傾向があり、気が付くと袋小路に入り込んでいることがあるためです。また環境の変化などで、目的の解釈が各個人でずれていくこともあります。
そこで大切なのが「そもそも論」です。『そもそもこのプロジェクトの目的は何だったっけ?』この自問は、何十回・何百回と繰り返すべき質問です。私も迷ったら何度でもこれを自問自答したり、チームメンバーと話し合って確認することを心がけています。
■コツ2:ムードの良いチーム編成
チームのメンバー編成では、できるだけ柔軟性が高くムードの良い人を選ぶことが大切です。イノベーションを目指す仕事では、色んなアイデアを試しますし、朝令暮改も当たり前。昨日決めた方針を今日変更することもあります。なかなか結果がでない期間もあったりします。そんなときに『話が違う!』とか『聞いてないよ!』などとイライラを他人にぶつけたり、凹んでしまうような人ではうまく共同作業が続けられません。
もちろん、大前提として目的に応じて最低限のスキルレベルは満たしている必要はありますが、いくらスキル的に優秀でも、ムードの悪い人やチームのケミストリーに合わない人をチームに加えてしまうと、チームの本来のパフォーマンスが発揮できなくなってしまいます。
■コツ3:悠長さ
これはコツ2と少し似ていますが、新しいことに挑戦する仕事では、なかなか結果がでないこともあります。すぐには答えが出ない問題に、粘り強く取り組む必要も出てきます。こういうケースで必要な気構えは、悠長さです。
悠長に仕事をする、というと、ゆっくり仕事をしているのかと勘違いされそうですが、そうではなくて、分からない問題をすぐに投げ出さず、何度でもやり直してみることができる、試行錯誤を楽しめる、というポジティブな意味の能力のことです。(1つ1つの作業のスピードが速いに越したことはありません。)
京都大学の名物数学教授だった森毅(もり・つよし)氏の『わからないことを頭の中に飼っておく』という私の好きな言葉があります。この言葉は数学への取り組み方の文脈で出てくるのですが、『基本的に人間は問題が解けないと不快なので、すぐにあきらめたり、問題自体を無かったことにして忘れてしまう人が比較的多い。数学に取り組む上では、そういう場合には問題を保留にして頭の中に何年でも飼っておくことが大切』、という考え方を表現した言葉です。
この考え方はイノベーションやR&Dでもとても有効です。現実のプロジェクトでは期限やスケジュールがありますが、それでも焦らずギリギリまで考え抜く悠長さは成功の確度を高めてくれるでしょう。
■最後に
今回は、私が経験上重要だと感じているイノベーション活動のコツを3つ書いてみました。みなさんの参考になれば幸いです。他にもまだまだコツやTIPSはたくさんあるので、機会を改めて書いてみたいと思います。
以上
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